サッカーの試合を観戦していると、審判がファウルを認識しつつもプレーを続行させる場面に出くわすことがあります。これは「アドバンテージ」と呼ばれるルールで、試合の流れを保ち、攻撃側に有利な状況を維持するためのものです。
今回は、サッカーにおけるアドバンテージの意味や適用される状況、そして実際の試合でのエピソードを交えながら解説します。
アドバンテージとは?

アドバンテージ(Advantage)とは、サッカーにおいて守備側の反則が発生した際、審判がプレーを止めずに続行させることで、攻撃側のチームに有利な状況を維持するためのルールです。
これは、反則があったにもかかわらず、攻撃側が有利な状況を保っている場合に適用されます。
アドバンテージが適用される場面
アドバンテージは、以下のような状況で適用されることがあります。
- ボールのコントロール:反則を受けたチームがボールを支配している場合。
- プレーの方向性とスペース:相手のゴールに向かっている、または有望な攻撃の機会がある場合。
- 試合の流れ:試合を止めずに続行することで、攻撃側に有利な状況が続くと判断される場合
例えば、攻撃側の選手がドリブル中に軽いファウルを受けたが、バランスを保ちつつ前進できる場合、審判はアドバンテージを適用し、プレーを続行させます。
審判のジェスチャーと判断基準

アドバンテージが適用される際、審判は両手を前方に伸ばすジェスチャーを行い、プレー続行の意思を示します。この判断は瞬時に行われ、以下の要素が考慮されます。
- 攻撃の有望性:攻撃が継続されることで得点の可能性が高いか。
- 試合の状況:試合の流れや時間帯、スコア状況など。
審判はこれらを総合的に判断し、アドバンテージを適用するかどうかを決定します。
アドバンテージ適用後のカード提示
アドバンテージが適用された場合でも、反則を犯した選手に対する警告や退場処分は、次にボールがアウトオブプレーになった際に行われます。これは、反則行為が見逃されるわけではなく、公平性を保つための措置です。
実際の試合でのアドバンテージ適用例

アドバンテージの適用は、試合の流れを大きく左右することがあります。
2017年エル・クラシコ(バルセロナ vs レアル・マドリード)
2017年4月23日に行われた エル・クラシコ(バルセロナ vs レアル・マドリード) で、リオネル・メッシがアドバンテージを生かした象徴的なプレーを見せました。この試合は、ラ・リーガの優勝争いに大きく影響を与える重要な一戦であり、メッシはこの試合で2ゴールを決め、バルセロナに劇的な勝利をもたらしました。
プレーの流れ
- 中盤でのドリブル開始
- メッシは中央付近でボールを持ち、ドリブルを開始。
- その瞬間、レアル・マドリードのカゼミーロがメッシの進行を阻止するためにファウルを試みる。
- 審判のアドバンテージ適用
- カゼミーロのタックルはメッシの進行を妨げたが、メッシは転倒せずにボールをキープ。
- 主審は アドバンテージのジェスチャー(両腕を前に伸ばす動作) を行い、プレー続行を認める。
- ゴール前まで突破
- メッシはそのままドリブルを続け、相手DFを次々とかわしながらゴール前へ。
- 最後にレアルの守備を崩し、正確なシュートでゴールを決める。
- アドバンテージが試合を決める要素に
- このゴールは試合の流れを大きく変え、バルセロナが最終的に3-2で勝利。
- メッシはこの試合で決勝点を決めた直後、ユニフォームを脱ぎ、マドリードの観客に背番号を見せつける有名なシーン を演出。
ポイント
- アドバンテージの適用がなければ、主審がファウルを取って試合が止まっていた可能性が高い。
- メッシのバランス感覚とプレー継続の意志が、審判に「アドバンテージを適用する価値がある」と判断させた。
- 結果的に、試合を決定づけるゴールとなり、歴史に残る名場面の一つとなった。
このように、アドバンテージは試合の流れを大きく左右し、攻撃側にとってチャンスを活かすための重要なルールとなることが分かります。
アドバンテージ適用の難しさと審判の役割
アドバンテージの適用は、審判にとって難しい判断の一つです。瞬時に状況を把握し、プレーを続行させるかどうかを決定する必要があります。
この判断が適切であれば、試合の流れをスムーズにし、観客にとってもエキサイティングな展開を生み出します。
まとめ
アドバンテージは、サッカーの試合をよりダイナミックにし、攻撃側に有利な状況を生かすための重要なルールです。このルールを理解することで、試合観戦がさらに楽しくなります。
審判の瞬時の判断と選手のプレーが組み合わさることで、サッカーの魅力が一層引き立ちます。